「真実のメシア=大救世主に目覚めよ」

序文「覚醒の書に捧げる」

この河内正臣氏の快著「真実のメシア=大救世主に目覚めよ」は私たち現在の混迷する日本人すべてに突きつけられた、
希有の覚醒の書である。

それは百五十年前、幕末の激しい危機のさなか、吉田松陰坂本竜馬が突きつけた憂国の諸書にも匹敵する。

百年前、明治の激動期、岡倉天心鈴木大拙によって書かれた、
アメリカやヨーロッパでも深い感動を呼んで諸書にも匹敵する。

しかも、天心や大拙の書には難しい理屈が多いが、河内氏の書はそうでもない。
それは強烈な主張に満ちているので理屈が全くないわけではないが、理屈を超えて河内氏がまず提示するのは、
ほとんどの人が知らない、今まで封じられてきた、驚くべき歴史の真実の数々である。

 その一つのアウトラインをここで紹介させていただくと、それは「日本製の原子爆弾の開発」
「それを敢然と阻止した一人の方の決断」
を明かす、衝撃の秘史である。

つまり、太平洋戦争中、日本は実はアメリカより1年も早く、独自の理論と技術にもとづいて、
国産の高い性能の小型原爆を開発しかけていた。
それをハワイの米軍基地へ叩き込むためのロケットの燃料実験まで極秘にやっていた。

しかし、この原爆攻撃計画を旧日本軍の首脳から聞いた昭和天皇「それは人類滅亡の兵器になる」と、
判断
「自分はそれに反対である」と軍首脳部を叱り、きわどいところでその使用を阻止したのである。

もしこれが阻止されていなければ、旧日本軍によるハワイの原爆攻撃はおそらく実現し、アメリカもその報復として、
日本中の都市に原爆を降りそそがせていただろう。

そうなれば、アメリカ側の直接の被害はハワイの軍事基地だけで済んだかもしれないが、
日本はおそらく完全に破滅していただけでなく、当時はまだ重視されていなかった放射能や死の灰が世界に広がり、
人類は結局アメリカ自身も含めて甚大な被害を受けたいたと思う。

と考えると、昭和天皇のこの時の決断は日米を、そして人類を救った。当時、原爆や核兵器の実体は、
科学者にもよく知られていなかったが、昭和天皇はおそらくご自身の生物学者としての知識と何か高度な直観で、
それが「人類を滅ぼすものだ」と見ぬき、絶大な力の軍部に対し、身を捨てて阻止行動に出られたのだった。
この知られざる真実を、河内氏は直接証言者の証言にもとずいて、本書で克明に明かしている。
それは天皇を好きとか嫌いとかいう次元を超えて、私たち日本人は今まで、
こうした重大な根本の真実を知ろうとしなかったのではないか、知らせまいとする勢力に操られてきたのではなきか、
という痛切な反省をもたらす。

しかも、河内氏が本書で明らかにする真実はこれだけではないのだ。

 第二の驚くべき真実として、河内氏は昭和天皇と日本国憲法の深いつながり、
とくに戦争放棄
「第九条」と昭和天皇をむすぶ、衝撃的な憲法成立の秘史を明らかにしている。

 それは通説では、太平洋戦争直後、マッカーサー指令部が作製し、敗戦の日本に力づくで押しつけ成立させたもの。

 とくに戦争放棄「憲法第九条」は、日本を無力化するため無理矢理押しつけられた、と相当多くの日本人が思い込んできた。

 だから日本は、できるだけ早くこの押しつけ憲法を変え、強力な軍事力を持って戦争できるようにしなければならない。
これが一部の人たちの強い主張にもなってきた。
とくに
「第九条」は日本無力化の最大のシンボルだから早急に廃止すべきだと。

 だが河内氏の調査では、ここが根本的に違う。河内氏の徹底した調査では「戦争を永遠に放棄する」
そして
「戦争のない世界を創る」。これは実は昭和天皇が終戦とともに言い出されたことだという。

 それは静かだが不退転の決意で言い出され、日本に戦争の根を残そうとするさまざまな勢力の動きを迎えた。
また、天皇と何度か会ううち、天皇を絶対に尊敬するようになったマッカーサーをいたく感動させ、
憲法に明記されるようになったのだというのだ。

 河内氏はこのことを、現在のメディアや九条廃止論者が決して目を向けようとしない当時の外電、
外人記者による昭和天皇のインタビュー、天皇の早い段階での戦争放棄宣言を記した官報、天皇の反戦の理想と無私の人柄に
マッカーサーが圧倒されてゆく過程‥‥‥などの決定的資料を駆使し、鮮やかに証明してみせる。

 「そうか、それは知らなかった。しかしそうだとしても、それは何十年も前の話だろう」という人がいるかもしれない。
しかしこれに対し、河内氏はさらに第三の証明を本書で次のように放つ。

 それは昭和天皇が、そこまで深く関与された日本国憲法の理念を、
現在の天皇がいっそう熱い思いで受けつがれているという事実である。

 黙って受け継がれているのではない。この熱い思いを現天皇は即位の直後、またその翌年の「即位の大典」の時、
二度はっきり宣言された。
「私は国民とともに日本国憲法を守る」と、国民に向かってだけでなく、
大典に参列した世界各国の多くの代表の前で、重ねて明言されたのだ。

 当時のニュースを調べれば、このことは誰でも容易に知ることができる。しかし、このことを今、
あらてめて取り上げようとするメディアや識者や本は、この河内氏の書以外にはほとんどない。

 そして、代わりに聞こえてくるのは、ともかく早く憲法を、とくに九条を変えて、アメリカに協力して戦えるようにせよ、
という(そう言っている本人は決して前線には行かない立場)、一部の
評論家や一部の政治化の怒号ばかりである。

 その人たちに、河内氏のこの書のこの部分を是非読ませたい。
昭和天皇が身を捨てて提案し、
現天皇が受けついで全世界に宣言された「憲法順守」の誓いを、その人達はどう思っているのか聞きたい。

 またもっと端的に、その人達が望むように軍備をさらに拡大し、
アメリカの要請どおり戦時体勢にずるずる足を突っ込んで行けば、
それで日本が救われるかどうかも聞きたい。

 それでは決して救われないと、とくに核兵器の時代に戦争に加担したら国は滅び世界も救われないと、
今から六十年前、昭和天皇は早くも見抜かれた。だから戦争放棄、戦争のため軍備放棄の理念を身を挺して打ち出された。

 それを受け継がれた現天皇のもと、日本はまがりなりにも戦争放棄の理念を守って今まで来た。
アメリカ主導の何回かの参戦への要請にも、日本はかろうじて加担せず、多くの他国のように戦争で人を殺すことを、
日本は六十年間いっさいしなかった。

 このことが世界の心ある人々から大きな評価と支持を受けているのを、日本人は知らない。
知らせないようにしている勢力があるのかもしれない。しかし実は、このため他国は日本を攻撃する口実をつかめず、
軍事的に日本人を殺しにくくなっている。

 これが六十年間、戦争で他国人を殺さなかったおかげであることを、その根底に昭和天皇の「戦争放棄」の発想や
原爆阻止の決断があったこと、それで日本が救われてきた面があることを、私達はこの河内氏の書を通してもっと知るべきなのだ。

 かくして本書のタイトルが、なぜ「真実のメシア=大救世主に目覚めよ」なのか、
河内氏がなぜこのタイトルを選んだのかが、ここで明確になってくる。

 言うまでもないことだが、もともと「メシア」とか「救世主」という言葉は、ユダヤ教やキリスト教に出てくる概念である。
ユダヤ教では
「選ばれし聖なる油を注がれた人」を、のちには「神に選ばれて国を救う人」をメシアと呼んだ。

キリスト教もこれを引き継ぎ、「人類危機のどんずまりの時に現れて、人類ととくにキリスト教徒と世界を救う人」のことを
救世主と呼んでいる。

 しかし、こうした聖なる信仰の上に二千年間も成り立ってきたユダヤ・キリスト教文明が、今どんな体たらくになっているか、
これは文明とか歴史とかに全く関係のないギャルや中学生でも、ちょっとニュースを見ればわかるはずである。

 その一番わかりやすい例は世界最大のキリスト教団アメリカで、アメリカは米ソ対決が終ったあとも、湾岸戦争やユーゴ戦争、
今回のアフガン戦争と、次々に戦場を拡大してきた。アフガン戦争の原因にはニューヨークテロがあり、
あれでアメリカが被害を受けたのは確かだが、その報復は明らかにやりすぎ。
罪もないアフガンの女子供までアメリカは残虐爆弾で殺し続けてきた。

 アメリカ内部にもキリスト教にも、これを止めさせる力がなく、次はイラクや北朝鮮やイランに新型核を使う、
とブッシュ大統領は明言している。

 しかも、こうしたキリスト教文明の祖型であるユダヤ、つまりイスラエルも、かって自分たちがナチスによって
受けたと同じ虐殺をパレスチナの少年少女や赤ん坊に対し連日やっている。

「それはパレスチナ人自身の責任だ。パレスチナ人もアフガン人も、イスラエルやアメリカに残虐テロをやったのは事実だから、
報復されても仕方がない」という人たちもおり、これも一理ないではない。 
だが実はパレスチナやアフガンのテロリストたちが拠って立つ信仰、つまりイスラム教も、
根っこはユダヤ教やキリスト教と全く同じ旧聖書から出ている。

 

 破滅のときに現れて自分達を救ってくれる救世主を信じる一神教、
という点ではイスラムもユダヤもキリスト教も近親なのである。

 それなのに、彼らが属するいくつかの国にとって破滅の危機はもう来ているのに
彼らが渇望する彼らの救世主はまだ来ていない。

 かわりに来たのは、彼ら一神教国が作ったより残酷な大量虐殺兵器と、
彼ら一神教民族どうしの止めどない殺し合いだけななのだ。

 これは、今までの世界の主流、二千年におよび一神教文明が完全に間違っており、
彼らの言う救世主がインチキらしいことを物語る。

 こういう一神教文明が、たがいに神の名のもとに女子供まで殺し、こりずに新型核や生物科学兵器による
新大戦まで始めようとしているのが現在だとわかってくる。

 だから、それに対する強烈なコントラストとして、原爆、核兵器が人類を破滅させることを開発の時点で見通し、
敢然起ってそれを阻止し、これからは戦争を放棄するしか人類が救われる道はないと見切った昭和天皇の先見性が、
あらためて浮かび上がってくるのである。

 従って本書は一見、かっての天皇の業績を記す追憶の書であるように見えて、実はこれからの日本と、これからの世界への、
もうこれでなければ救われない、という熱烈な未来メッセージがあることがわかる。

 そのように読んで新しい未来へ踏み出した方から、
さらに次の読者へと混迷の日本・戦乱の世界を救う輪が広がっていくことを願ってやまない。


平成十四年四月二十九日

ノンフィクション作家  五島 勉


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